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大阪高等裁判所 昭和60年(ラ)331号 決定 1985年8月20日

抗告人 株式会社 住友クレジットサービス

右代表者代表取締役 鈴木雍

右代理人支配人 仁比宏次

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一  本件抗告の趣旨は、「原決定を取り消し、抗告人申請の債権差押命令を発する。」旨の裁判を求めるというにあり、抗告の理由は別紙記載のとおりである。

二  当裁判所も、抗告人(債権者)の本件債権差押命令の申請は却下すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加するほかは、原決定の理由説示と同じであるから、これを引用する。

証書及び添附書面に公証人法三七条二項の要件を満たさない部分が存在するからといって、それだけで直ちに証書の効力を否定すべきであるとまでは解し得ないとしても、本件添附書面のように、右要件を考慮しないまま作成され、その要項を全く満たしていない書面は、同法四〇条二項、三七条二項に違反するものとして、同法二条により公証人が作成した書面として公正の効力を有しないものというべきである。

よって、本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし、抗告費用は抗告人に負担させることとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 首藤武兵 裁判官 寺﨑次郎 井筒宏成)

<以下省略>

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